aromatic forest香りハント

森の時間の始まり。信濃町の森林メディカルトレーナーとともに、ゆっくり歩を進めます。
足元には、枯れ葉を押しのけて芽吹いた稚樹があり、頭上には、ひときわ元気に手を振る葉っぱがあり。歩くほどに、だんだんと、ほのかな命の気配に気づくようになってくるから不思議です。

スギのしなやかな葉の房を両手で包んで揉み、その手で顔を覆って、スギの葉の香りを聞く。
クロモジのぴんと張った枝をちょんと切り取り、鼻に近づけ、クロモジの枝の香りを聞く。
目で見るだけではとても足りない、体いっぱいで味わう、森ならではの体験が待っています。

あなたがおうちに連れて帰りたい香りは、どれですか？
スギの葉の、すっと鮮烈な清涼感のある香り。
クロモジの枝の、ほっと和むさわやかな香り。
サンショウの葉の、ぴりりと引き締まる香り。
いくつかの葉や枝を混ぜてみても、新しい香りや味わいが生まれるかもしれません。
「どの葉っぱなら味わっても大丈夫？」 安全な植物を森林メディカルトレーナーと確認して、森の恵みのお裾分けをいただきます。

信濃町に蔵を構える明治8年創業の老舗「高橋助作酒造店」で、35度と66度の蒸留酒の小瓶を、お好きな数だけ購入します。
森からいただいた枝や葉をきれいにすすぎ、ちょうど良いサイズに整えて、無色透明のお酒にそっと落とし込みます。
小さな瓶の中にきゅっと閉じ込められた、豊かな森のひとかけら。
さあ、どんな香りが芽吹いてくるでしょうか。

お酒の小瓶を連れて帰ったら、しばらく見守ってあげましょう。
枝や葉の色が変わったり、お酒に色がついてきたり。
時おり、そっとふたを開けてみると、香りが立ち上ってくるかもしれません。
一週間ほどしたら、いよいよグラスを用意して、少しずつ味わってみて。
ストレートで。ロックで。ソーダ割で。ほかの飲み物に混ぜて楽しんでみても。
長く漬けるとえぐみが出てくる場合もあるので、程よいところで中身を取り出すのがおすすめです。

舌の上で踊る、信濃町の森のひとしずく。
35度のお酒は、ふわっとまろやかなハーモニーを奏で、66度のお酒は、がつんと高らかにファンファーレを響かせる。
あの場所で、あの季節に、あの人たちと歩いたから、生まれた香り。
森で見つけたささやかな驚きや喜び、心がほぐれた温かな感覚も取り戻して、あなたの日常がまた少し、あざやかなものになりますように。